【前回記事を読む】まさか。全身が寒気に襲われる。スコープから目を離し、見上げると巨大な狼が立っていた。逃げたくても、周囲には既に他の狼たちが…

第二章 旅立ちと仲間

最初の出会い

さっきまで自分に牙を向けていた狼たちは、すべて残らず、血まみれで死んでいた。狼たちには切り付けられたような跡があった。訳もわからず目を白黒させていると、

「無事か?」

「いやあああああっ!」

急に聞こえてきた男の声に驚いて奇声をあげた。すると声の主は「うるせぇな」と呆れたように言う。

(え、人? 男の子?)

声がするほうに目を向けた。声は、死んだボス狼のほうから聞こえた。ゆっくりと振り向き、周りを見渡した。

「ここだよ、ここ。狼の上」

「え?」

言われた通り、倒れた狼の上に誰がいるのか、とボス狼を見上げた。そして、ようやく声の主を見つけた。紺色の髪に青と黄色のオッドアイ、真っ赤に染まったナイフを持った、すごく整った顔の、年も大して変わらない男の子が、狼の上にあぐらをかいて座っていた。