僕はその日の夜に拓也を飲みに誘った。というより、僕は拓也に助けを求めていたのかもしれないけどね。

1杯目の生ビールをほとんど一気に飲み干した後に拓也はニタリ顔で繰り出してきた。

「お前どうしちゃったの、なんか変だぜ」

「え」

「告白失敗した? あ、わかった。お前まだセナなんちゃらに告白してねーんだろ」

拓也はニヤニヤしながら弄(もてあそ)ぶようにひやかしてくるけど、心根はデリケートで優しいことを僕は本能的に知ってる。ルーズな見た目とは反比例するけど。

「何も考えてなかったの? アプローチ」

「チャンスがあれば告白しようと思ったけど、タイミングがなかった」

「はー、作戦は?」

「作戦?」

「何か達成したかったらまず計画だろうが。計画なくして成果なし。まず計画の達成手段が作戦だな」

「作戦て?」

拓也は、唐揚げを連続して頬張りながら、少し考えてから僕に提案を始めた。

「まだ会うタイミングあるんだろ」

「ヴァレンタイン前日に、またうちに来る。本ちゃんのチョコ作りに」

次回更新は7月1日(火)、22時の予定です。

 

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