プロローグ なぜ「生抜力®」なのか

はじめに

2019年4月、定年を迎えた。

大学院卒業後就職した山之内製薬は、藤沢薬品工業との合併でアステラス製薬と社名は変わったが、1つの会社で定年まで勤め上げたことになる。

幸せなサラリーマン人生だったらしい。

充実していたのは確かだ。自信を持って言える。

お世話になった社長と副社長へご挨拶に伺った。

(私)
「35年間、お世話になりました。10年前の50歳の時に「定年後は異分野で生きていこう」と考え、以降様々な準備して参りまして、今後は自分の可能性を求めて自由自在に走りたいと考えております」

(副社長)
「梶井さん、今まで、さんざん好き勝手やってきて、今更これ以上何を望んでいるのですか?」

(私)
「…………」

ありがたいことに社長・副社長にはなむけの言葉をいただき、定年後のスタートをきることになるのであった。

アステラス製薬では新薬開発プロジェクトリーダーを務め、やりがいを感じつつも組織人としての動き方には様々な制約をも感じていた。

定年後の元サラリーマンの抜け殻のような姿や、ひたすら体力温存の休日を過ごす現役サラリーマンの姿には、大きな違和感を抱いていた。