【前回の記事を読む】まずすぐに注油したり、分解したりせず何が原因かを慌てずに調べ、じっくり見極めてから対策を

第3章 各種電動車における不具合モードの具体例

蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車、および電車気動車の特徴に合わせて故障・不具合モードがいろいろあります。

3.1 蒸気機関車特有の不具合

1)ロッド類の破損

多くの蒸気機関車の駆動方式は、実物ではワルシャート式弁装置というピストンでの往復運動を回転運動に変換して走行できるように構成されています。多くのロッドや回転部品から成り立っており結構精巧で複雑です。模型でもここでのトラブルが多いです。

特に、往復運動とメインロッドの回転部を制御するクロスヘッドや弁装置を往復運動制御するモーションプレートでのトラブルが多いです。

また主動輪に接続されている偏芯棒(エキセントリックロッド)、主連棒(メインロッド)、連結棒(サイドロッド)、そしてそれらを束ねているリターンクランクがNゲージでは挿し込んであるだけ、またHOゲージではハンダ付けして位置決めしてあるだけなので外れやすく走行ができなくなることがあります。

図5 HOゲージ系D51蒸気機関車の走行装置・ロッド関係