【前回の記事を読む】「今日のことは一生忘れないかも」と思った45年目のあの日―。中学最後の体育大会、学年別リレーでアンカーを務めた僕。

中学校時代

中学での学校生活

そんな毎日の中で、自分にとってメモリアルな2つの瞬間が蘇ります。それは2つともサッカーのゴールシーンです。

1つは、放課後にいつものメンバーと運動場で遊んでいたとき、友達がコーナーからボールを蹴ったときのことです。

わたしはゴール前でゴールを狙っていましたが、キッカーの蹴ったボールが私の足元にすーっと落ちてきたので、利き足ではない左足ではあったのですがそのボールをめがけて足をふり抜いたところ、ボールがすごい勢いでゴールに吸い込まれました。

自分でやったことなのですが、そんなことができるとは思っていないところに、遊びとはいえ周りの友人たちも「いまのは、すごいわ」と称賛してくれたのです。

練習を重ねた人たちはあのようなゴールを高い確率で決められるのだろうと思うのと同時に、多くの聴衆の前でその技を披露できたら、すさまじい達成感を味わえるのだろうと想像することができました。

もう1つのシーンは、学年ごとの体育大会での試合でのことです。3年生同士での試合で同点のまま試合時間が終了し、最後PKで勝敗を決めることになった時のことです。

よく考えたら、サッカー部でもないし、体育の時間でもそんなに長い時間試合をすることもありませんでした。15分か20分ハーフの試合をして勝敗を決めるということをその体育大会で初めて経験したのでした。

キッカーをチームで決め、いよいよPK本番です。私もキッカーの一人に入れてもらったのですが、遊びではなく、きちんとした緊張感のなかでPKを蹴るのは生まれて初めてのことでした。

ゴールの周りには戦っていた両クラスの生徒が押し寄せている中でのPKなので、かなりのプレッシャーになります。

その時のキーパーの動き、ゴール裏に詰め掛けている人の様子、ボールを蹴る前の緊張感。そして、キック。

右足でゴールの右上を狙い、ゆるく蹴ったボールがゴールに吸い込まれた瞬間の映像を記憶しています。

試合の勝敗についてははっきりしないのですが、スポーツのクラブ活動をしていなかった私が、試合での緊張感を味わうという唯一の経験をここでさせてもらえました。

ゴールネットの後ろに広がる青空には、すこし雲がかかっていたのを覚えています。