「触」とは、「触れ合い」のこと

「触」は接触のことです。自分の欲望を満たすために、自分の快感原則によって、ものや他人と触れ合うことです。

食欲においては、自給自足であれば、他人と触れ合う必要はないかもしれません。けれど、乳児は母親と触れ合わなければ生きていけません。

社会生活をしている人は、多かれ少なかれ他人と関係して食べ物や欲しい物を手に入れるかと思われます。

ましてや男女の性愛であればなおのこと、他人(異性)と関係しない訳にはいきません。他人と触れ合わなければ、自分の欲求を満たすことはできません。

けれど、たとえ触れ合っても、いつも欲求が満たされるとは限りません。自分の思い通りにいかないのが人との触れ合いであります。

先ほどの「受」との関係で言えば、快を求めて他人に接近し、快を与えてくれる人に近づきます。

逆に、不快な他人からは離れ、不快や危険を伴う人から遠ざかります。場合によっては、不快な人に嫌がらせをしたり、怒ったり、悪意を持って接したりすることもあります。

良好な接触が成り立つのは、快を求めて近づく場合か、すでに快を与えてくれる人だと分かっている場合であります。

欲求と行動のプロセスを考えた場合には、

【愛】まず無意識的に欲求(食欲、性欲)が生まれます(その欲求が意識化され、意欲が生まれます)。

【受】次に意識された欲求を満たそう(快を得よう)とします。

【触】さらに快を得ようと行動し、物や人に近づいて触れようとします。

このように、欲求を満たそうとする行動によって、愛から受、そして触への流れが形成されることが分かります。