葉ざくらにまぎれて残るをりをりに
風にこぼるる白き花びら
幾ところ草焼く煙にほひたつ
春の吉備路の畦みちをゆく
青空に吸ひ込まれたる五重の塔
菜の花畑のなかに聳ゆる
*備中国分寺 奈良時代(七四一年)聖武天皇の発願により、国ごとに造営された国分寺の一(ひと)つ。高さ三十四メートルの五重塔は、江戸時代(一八四四年)に建立された。
季節に誘われ土地を巡る尊きいのちを三十一字に込める
最北の地で懸命に生きるウトウ、渚を目指していっせいに駆ける子亀……曇りなき目で見つめたいのちの輝きを綴る短歌集を連載にてお届けします。
葉ざくらにまぎれて残るをりをりに
風にこぼるる白き花びら
幾ところ草焼く煙にほひたつ
春の吉備路の畦みちをゆく
青空に吸ひ込まれたる五重の塔
菜の花畑のなかに聳ゆる
*備中国分寺 奈良時代(七四一年)聖武天皇の発願により、国ごとに造営された国分寺の一(ひと)つ。高さ三十四メートルの五重塔は、江戸時代(一八四四年)に建立された。