点滴液の受入針装着は診察室で装着するそうで、私は外に出た。数分後に良子は出て来て、一緒5階化学療法センターへ行った。3時間弱を要するとのことで、13時ちょっと過ぎの開始だから16時前に終える。
私は1階レストランで昼食をとって、図書室にいると言った。図書室は同じ5階にある。16時前に良子は図書室へ来た。変わったところはなかった。
支払いを済まし、調剤薬局でクスリを入手し終えると、17時を過ぎていた。もう暗かった。スーパーで買い物をし、帰宅した。少し丸みを加えた半月が、澄み切った空に浮かんでいた。
私はあい子を待ったが、良子は規則正しく夕食をとった。 変わったところはなかった。
指先が少し冷たい、とは言った。
私とあい子が食事を終えた頃、良子は風呂に入った。 出てきて、少し寒い、と言った。「早く寝ろ」と私は言った。「寝る」と言って、良子は上に上がった。
寒いのが、抗がん剤のせいなのか、単にパジャマ一枚のせいなのか、分からない。明朝の状態が問題である。いずれにせよ、抗がん剤治療は始まった。
明日は冬至。そして日々、日は延びていく。夏至までの戦いである。
次回更新は5月3日(土)、20時の予定です。
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