しかし、登山は危険である。準備も知識も必要だし、最低限の体力も要る。
筋トレならば、体力がゼロのところから始められる。お金もほぼいらないし、知識もこの本で案内できる。
筋トレこそ、手軽に自分を解放できる手段なのだ。
ここで少し、実践現場での話を挟もう。
ベンチプレスというエクササイズがある。これは、筋トレで最も有名なエクササイズであろう。恐らくあなたもこれから一度は経験するものだ。取り組んでしまえば、虜になるかもしれない。
実際、私は虜になって、ベンチプレスの公式台を購入して自宅でトレーニングをしていたほどだ。公式台とバーベル、プレートなど全ての器具を合計すると、その価格は軽自動車位になる。それでも購入に踏み切ってしまった。それほどの魅力があったのだ。
そんな、世界中の筋トレ民を虜にするベンチプレス。このエクササイズは、実は世界規模で見れば数百人単位で死亡事故が起きている。取組中に力尽きてしまい、バーベルに胸部や首が圧迫されて、死に至るのだ。ここ日本でも、年に数件、バーベルに圧迫されての死亡事故は発生している。
「安全じゃないじゃん!」
と思われるかもしれないが、実はこれは筋トレが悪いわけではない。セーフティーバー、という安全を確保できる機器があるのだ。これを活用すれば、事故の可能性は限りなくゼロに近づけられる。運動中に器具に押しつぶされた死亡事故は、このセーフティーバーの使用し忘れというのが残念ながら、真相であろう。
「でも、死亡事故が起こるなんて、危険な運動法では?」
あなたはそう尻込みするかもしれない。
だが安心して欲しい。他のどの運動よりも筋トレは安全なのだ。