一緒に働くうちに、いつの間にか2人は「ぽろもき」「のと」と呼び合う仲になっていた。

ぽろもきは、パン屋さんでの仕事に楽しさを感じていた。それは、店長のカーティムが優しかったことと、のとが一緒に働いていることが大きな理由だった。

朝早くからパンの仕込みをしたり、焼き加減を見ながらパンを出し入れしたり、火おこしをしたり、なかなか大変な仕事だった。

でも、やっぱり働いていて楽しかった。生まれて初めて味わう幸せな時間だった。そして次第に、のとの顔や仕草が、可愛いと感じるようになっていた。

また、自分の存在が、のとの“おじいさんに会う”という願いを叶えることに繋がっていると思うと、やりがいを感じた。人間のクズはなくなる日が来る。人の役に立つ日が来る。

それも、穏やかで可愛いのとのためになるなんて、本当にうれしいことだ。ただ、不思議なことに、その願いがもうしばらく延期になってほしいと、心のどこかで呟いている自分がいた。

のとも日々の生活に楽しさを見出していた。おじいさんも優しかったけれど、カーティムも温かく迎え入れてくれた。カーティムの人柄には、大きな柔らかい布団に包まれるようなオーラを感じた。

そして、ぽろもきのそばにいると安心できた。それは、今まで感じたことのない安心感だった。ぽろもきが笑っている時の顔が良かった。彼の顔を見ながら、働けることに幸せを感じていた。

いつの間にか、のとは、ぽろもきと一緒にいる時間がずっと続いてほしいと思うようになっていた。