しかし、昨今は、医者や政治家まで、本来は志と能力に秀でた人が就くべき職業を、親が子に継がせている。医者の子が医者を、政治家の子が政治家を目指すのは、悪いことではない。親が、子の職業として、条件を整えた上で残すことに卑しい心根を感じるということである。

一般の多くの親は、子に職業を残さないし、残せない場合が多い。個人的に後継者を決めることができるような職業で、子が望んで継ぎたいという意思を示した場合に、それを許す形になる。一人前の人間として職業を選ぶという行為は、遊び方と同様に生き様を選ぶことである。人間として最も大事な生き様を、親は子に押しつけてはいけない。

それでも、死に臨んでも臨まなくても、子孫に何かを残したくなるのも人情というものである。お金や財産はどうだろうか。勿論、財産を子や孫に相続してもいいが、それは人が生きた証しとして残すものには、露ほども該当しない。

財産は、その人のほんのわずかなラッキーの証しであるか、その人がせっせと貯めた禍(わざわい)事の種であるかのどちらかでしかなく、生き様とはほとんど関係がないからである。

それでは、そこそこ以上の財産を保有してしまった人は、どうすればいいのか。一番いいのは、生きているうちに自分で全部使ってしまうことである、と思う。

私は、この状態にないから、本当の財産持ちから怒られてしまいそうであるが、私が身近に見聞きする範囲、および世間の一般論では、事業の成功、不動産による高額所得などによる恩恵はせいぜい3代目までしか続かない。だから、子孫のためには、相続税とかを心配しなくていい程度、邪魔にならない程度を残して、後は使いきってしまうのがいい。

ここでは、遊蕩三昧や新興宗教への肩入れは、金の使い道として考慮していないから、使いきるのは結構大変な人もいると思う。

そこで、財産を生きた証しとして後世に残す私の一番のオススメは、寄付である。財力に応じて、社会貢献のための基金を創設したり、出身の学校や自治体に講堂やホールを建設したりのレベルから、赤十字や歳末助け合いなどのレベルまで、様々な行為が可能である。

そして、どのようなレベルであっても、お金が生きる、満足感が得られる、最後に自分の名前が残る。多分、こちらの方が子や孫に残すより長持ちする。

 

【イチオシ記事】3ヶ月前に失踪した女性は死後数日経っていた――いつ殺害され、いつこの場所に遺棄されたのか?

【注目記事】救急車で運ばれた夫。間違えて開けた携帯には…「会いたい、愛している」

【人気記事】手術二日後に大地震発生。娘と連絡が取れない!病院から約四時間かけて徒歩で娘の通う学校へと向かう