【前回の記事を読む】「私が『生きた証し』は、なんとかクラブのホームページの活動記録です」…この程度で良い。些細なものでも自分が満足できたら上等!

2 残すなら言葉、これが一番カッコイイ

(1)言葉には力が宿る

カッコイイ言葉といえば、まず映画のセリフ。名セリフの代表といえば、往年の映画ファンなら誰もがご存じの「カサブランカ」の名優ハンフリー・ボガート。これは、誰が何と言ったって、そうなのである。

「昨日、何していたの?」「そんな昔のことは覚えていないね。」「今夜、会える?」「そんな先のことは分からない。」と、言い寄る女に素気ない態度のハンフリー・ボガート扮するリックも、

かつての恋人イルザ(これには、清楚かつ妖艶なイングリッド・バーグマンが扮している)には「君の瞳に乾杯!」と、日本人ではとても言えない気障なセリフでキメる。

このように目の前の相手との会話やスピーチ、講演から、お坊さんや牧師の説話まで、相手が見え、多数の人に向けて言葉を発する場はたくさんある。

こういったときは、こちらが伝えたい言葉に、声の強弱、話す速さで、感情を乗せることができる。さらに、顔の表情、身ぶり手ぶりで、伝えたい内容を表現することもできる。

相手が見えていれば、言葉の微妙なニュアンスも正確に伝わるし、相手の反応も瞬時に把握した上でちょっとした格好もつけられる。

しかし最近、言葉のキャッチボールをその場に合わせた口調で自由に楽しむ人が少なくなったような気がする。

端的にいえば、話すのが皆下手になった、さらに聞くのはもっと下手になった。これは、言語能力の問題だけではない。言葉を交わす相手への好奇心と思いやる心の双方が希薄になっているからではなかろうか。