Column 5
遺伝学トリビア②

遺伝子

ゲノム上の遺伝子とは、DNAそのものではなく、タンパク質の作り方が書き込まれた部分であり、ヒトは約25,000個の遺伝子を持っている。遺伝子のボディにはエキソンとイントロンと呼ばれる配列が交互に並んでいる。

遺伝情報が含まれるのはエキソン部分で、ヒトゲノムでは、わずか2%にすぎない。DNAより転写されたRNAからイントロンが取り除かれて、たんぱく質を作るエキソンが繋がったのがメッセンジャーRNAである。遺伝子には、数個から100個のエキソンを持つ巨大遺伝子まである。

人の遺伝子は、ゲノム上の決まった場所に位置しているので、30億塩基対のゲノム上の「住所」を数字で示すことができる。

DNAのメチル化

遺伝子のシトシンにメチル基が付けられることによって、遺伝子の発現が抑制される(スイッチOFF)。一方、付けられたメチル基が剥がれると、遺伝子の発現が誘導される(スイッチON)。

また、クロマチンに存在するヒストンと呼ばれるタンパク質があり、これは、メチル基以外に、アセチル基、リン酸基による修飾を受ける。ヒストン修飾は、遺伝子の働きをON、OFFいずれも行うことがある。

エピゲノム(Epigenome)

ゲノム(設計図)の遺伝子上にメチル基などの印をつけたもの、すなわち修飾されたゲノムをエピゲノムと呼ぶ。ゲノムを修飾するメチル基、アセチル基、リン酸基の由来は何であろうか。メチル基は、S-アデニルメチオニンというアミノ酸に由来する。

メチオニンは肉や魚、牛乳、小麦などに含まれる必須アミノ酸である。アセチル基は、糖や脂肪酸から作られる。リン酸基は、エネルギー源であるATPに由来する。すなわち、遺伝子の発現に関わるエピゲノムは、我々が摂取する食べ物と密接に関わっている。

それゆえ、栄養の取り方によってエピゲノムの修飾が変わり、遺伝子の発現パターンが変わる。すなわち、生活習慣病の発症につながることが理解できる。

出典:
中尾光善/驚異のエピジェネティクス、
羊土舎2014

 

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