「そうだったら本当に嬉しいね! お母さんが帰ってきたら、思いっきり豪華な快気祝いをやろう」

「うん、そうしよう!」

(先生の説明 2015年9月15日)

会社を早く終えて、夕刻5時に病院へ行った。

あい子は会社に残り、私一人であった。

5時20分にA先生が来られた。ナースが良子の用便の世話をする間、私は部屋を出、先生は私を「面談室」に誘った。

パソコン画面に、良子の腸の内部が映し出された。

「ステントの装着は成功したと思います」と先生は言った。

「まだ拡がりますので油断はできませんが、大丈夫と思います」

「検体検査の結果を見なければ断言できませんが、まず大腸がんと思います。写真を見る限り、転移はなさそうです。リンパ腺はやられていると思います。手術の際はそれも取り除くことになります」

「ここに水が溜まっています。悪性のものでないと思いますが、性質によっては、話がまったく違ってきます」

「腸管破裂という間際のピンチは脱したと思います」

そして、奥さまにはまだ話さない方がいいでしょう、とおっしゃった。

24日に、あい子と一緒に再度、話を聞くことにした。

やはり、がんなのか!

良子ががんになるなどと、考えもしなかった。

どうして、何を根拠に、考えなかったのだろう。

人生、当然あり得ることが、どうして自分にだけはあり得ないと、人は安心して生きるのだろう。

当然のことが当然の確率で起きたのに、どうして衝撃を受けるのか。

10年、

それは願いが大きすぎるだろう。

5年、それも、ねだりすぎか。

3年!

せめて!

それを与えて下さるなら、この上なく優しい男を、良子よ、私はお前に見せる。