【前回記事を読む】「アートで子育てしませんか?」――子育てしやすい町の上位にランクされている「こどもが主役のまち」廿日市市の保育園
はじめに
「レイコさんの〝アート保育〟はわからない」と直球の疑問を随分投げられました。
どこから伝えたら、どんな風に伝えたらいいのだろうか? どうしたら、私の頭で思っていることが、目の前の保育士の行動に投影できるのだろうと思ってきました。10年が過ぎ〝レイコさんのアート保育〟を理解してもらった保育を展開できるスタッフがそろってきたところです。
保育士さんも、私のイメージする保育環境の中に漬け込んで、〝感じる〟を体で覚えてもらうしかありません。様々な素材のある環境づくり、それでいて美しい環境、また、子供が夢中になれる環境、保育を目指す人であれば、誰もが考えているでしょう。
子供に教え込まないで、自分から興味を持ち、やってみたい、使ってみたいという好奇心を育てる環境づくりです。レイでは、それを色やカタチ、素材の分類で保育園の環境を整理して、その中で子供たちをアート漬けにしたいと考えていました。
レイには、特別の教具があるわけではありません。家庭で使う一般的な生活用具か装飾品を自然に置いておきます。それが、当たり前でいいなと思える環境づくりです。保育環境のイメージは、「ちょっと大きいおばーちゃんち」です。大きさだったり、色だったり、の並べ方を工夫します。意識して展示します。
子供たちは、成長したとき、目の奥に焼き付いた保育環境を思い出すでしょう。家庭で、母がいつもしてくれていたことを覚えているのと同じです。小さな瓶に一輪の花が活けてあれば、それをいつも見ていれば、大人になった時、何か物足りなさを感じたとき、それは、お花を飾ることだと思い出すでしょう。
そこに色やカタチ、素材を意識して展示をして環境を作っていきたいのです。美意識の土台づくりをしたいのです。