【前回記事を読む】「熊のイラストを描いて」と指示された学生たち。彼らがまず取った行動はインターネットで熊を検索すること。それって…
第1章 アートと保育を考える
「アート思考」って何?
ある年度末に、「あなたにとって『アート』とは何ですか?」と保育園のスタッフ全員にアンケートをしたことがあります。スタッフの思う「アート」と私の思っている「アート」という言葉には、もしかしたら、感じ方や理解の仕方に相違があるのかもしれないと感じていました。そこで、このようなアンケートを実施したわけです。
それぞれに今思う「アート」の意味を様々に、インターネットなどから検索し、質問の返答にインターネットの言葉を流用して、個々の考える「アート」を文章にしてもらいました。その中の一人のスタッフの書いてくれたコメントに、この「アート思考」という言葉があったのです。
この「アート思考」という言葉を見つけたとき、とても感動したのを覚えています。絵を描くことと、保育を繋ぐキーワードだと感じました。私が、子供たちに絵を描いてほしいという思いは、この「アート思考」を身に付けさせたいからだと直感しました。
子供が、自分のイメージを絵の中で、自由に発想を展開し変化させて描くことは、それはその子の考えです。まさにモノの見方を自由に変える「アート思考」をしている子供の姿なのです。「アート」というイメージをどのように捉えて日々保育に関わってくれているのか知りたいと思ってのアンケートでしたが、大きなプレゼントをもらったような気持ちでした。
以前は、あまり知られていない言葉だと思っていましたが、この頃はインターネットの中で、「アート思考」を鍛える指導法なるものも存在しています。