「アート思考」は、絵を描く中で、自由な発想をするために、最も大切な考え方だと思います。それは、学校教育の中でも、同様に重要であることに教育関係の方々が気づきはじめたということですね。しかし、学校では、図画工作の時間がまだまだ重要な科目とは認識されていないように受け取れます。日本の教育機関にアートと教育を繋ぐ方が必要なのではないでしょうか?

絵を描き続けていると、行き詰まってしまうことがあります。そんなとき、どのようにしてこの苦境から脱け出そうとしますか? 私だったら、絵を逆さまにしたり、色を変えたり、遠くから見たり、他の人の意見を聞いたりします。意見は参考にするだけで、実はちっとも聞いてはいませんでしたね。それは、新たな切り口を探しているのです。

今の自分の考え方では、「この場面から切り替わることができない」と感じているから、何でもいい、何か情報が欲しいと思っているのです。

「アート思考」とは、柔軟に物事を見ることのできる力です。子供たちは普段から、アート思考的なイメージをいつも持っています。それは、子供の物事に対する理解が大人が常識と思っている理解よりも未熟なため(大人の常識、それが良いことだとは思いません)、本質を知らないで、自由に発想できるからだと思います。

大人になってくると、物事の理屈や常識なるものが、頭によぎり、自由な発想を狭めてしまいます。「こんなことをしたら、変に思われるかもしれない。本当はこうだから、おかしいと思われるよね」とか、そんな現実と照らし合わせて、イメージの世界に飛び出せなくなってしまっています。