【前回の記事を読む】【製造業DX化】実績のある会社ほど、変革は困難になる。成功を築き上げた先輩社員、改善に改善を重ねてきた業務プロセス…
第2章 ものづくり白書からDXを読み解く

写真を拡大 図2 - 1 日本の人口の長期推移
「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」「小さな。といえば、明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう」
司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』のフレーズである。ふいにこれを思い出したのは、日本の人口の推移のグラフを目にしたからだ。
明治維新以降、日本の人口はまさに急坂を上り、第二次世界大戦という不幸を越えて、戦後に百花繚乱の開化期を迎えた。図2-1は、その人口が2004年以降、急坂を下っていくことを示している。連日報道される線状降水帯のもたらす水害の映像を見ていると、坂の下の濁流に日本は飲み込まれてしまうのではないか、そんな危機感すら覚えてしまう。
岸田政権の進める異次元の少子化対策が多少効いたとしても、恐ろしいほどの人口減少社会に日本は対応する必要がある。この間、気候変動に対応するためのEV(電気自動車)化を始め、産業構造が大きく変化していくだろう。直近では、世界的なインフレに対応するため、日本でもついに金利上昇が起こり、企業の金利負担も増えるはずだ。
このような環境に、日本の製造業はどう対応していけばよいだろうか。経済産業省のものづくり白書を紐解いてみた。