1-3.問題は解決しない だがそれでも良い

これから筋トレを始めるあなたにとっては、残酷かもしれない。だが真実を言おう。

筋トレでいまの自分の問題は解決する?

今からでも成功できる?

真っ当で健全な社会生活を送れるようになる?

ノー!

筋トレでは、それらの問題は全く解決はしない。

巷では、筋トレをすれば、自信がついて、仕事が出来るようになり、人生が豊かになると提唱する人もいる。

だが私は断言する。その言葉は、考えは、現実とは大きく乖離している。

巷の筋トレ万能説。それは、「もともとそれなりに仕事や生活が充実している人のみ」が対象だ。もともと、ある程度恵まれていた彼ら彼女らは、筋トレを行うことで、さらに仕事の成果が上がり、私生活が充実するということだ。

筋トレ万能説の提唱者は、限られた一風景を切り取っただけなのだ。

「じゃあ、成功していない、恵まれていない自分は?」

残念ながら、筋トレで何もかもが上手くいくことはない。

一度、まっさらな気持ちで考えて欲しい。

そもそも、筋肉が大きくなっても、一般的な事務処理作業の能力やコミュニケーション能力などが向上するはずがない。

唯一向上が期待できるのは、「ジム」能力である。「事務」能力では決してない。

ここでいうジムとは、もちろんスポーツジムである。

しかもスポーツジムで働けるという意味ではない。身につくのは、ジムを上手に使い倒す能力である。

「じゃあ、筋トレしても仕事ができるようにならないんだ……」

それはその通り。しかし、事務処理能力やコミュニケーション能力と並び立つ、忘れてはならない重要な能力がある。それは「体力」だ。肉体労働はもちろんのこと、営業、そして身体をそれほど使わない事務的な仕事でも、やはり成果を上げるには、体力は必須となる。

「そっか。体力なら筋トレで手に入る!」

「仕事ができるようになるかも!」

残念ながら、これもノーだ。

仕事で求められる体力、生活で必要な体力、このどちらも、実は筋トレでは獲得できない。