第一話 長老の予言
4 三種の神宝
『お前は何をしに高天原にやってきたのだ』
この時須佐之男命は、
『私は母のいる根の国に行ってしまうので、天照大御神にご挨拶をしに来ただけです』
自分の心が清いことを証明するために、子供を産んで見せましょうと言い、お互いに子供を産むことになった。須佐之男命の腰に帯びていた十拳(とつか)の剣からは宗像の三女神が産まれた。
須佐之男命は、
『私の心の清いことが明らかになりました。私が産んだのは優しい女の子ばかり、私の勝ちだ』と勝ち誇った。
そこで須佐之男命は、天上界にいることを許されたのだった。そののちひどいことを何度も行った。それらは大目にみられていた。
ある日天照大御神が斎服殿で神様の着物(神衣(かんみそ))を織っていたところ、神殿の甍(いらか)を壊して、そこから尻の皮を逆方向に剥がれて痛みのために大暴れするまだら馬を投げ入れた。多くの官女たちが働いていた機屋は大混乱になり、天照大御神は機織りの梭(ひ)(機器の横糸を通す道具)で怪我をされた。それが突き刺さって死んだ機織り女もいた。
事ここに至りついに天照大御神は激怒され、天の岩屋戸に入りそのまま閉じこもってしまわれた。
日の神である天照大御神が閉じこもられてからというもの、高天原も中つ国も、どこも真っ暗な夜だけの世界になってしまった。