やっと、やっと、私の人生が始まると思えた。
入学式での、あの日のいろんな意味での感動を今でもハッキリと覚えている。
今までは辛いことばかりだったけれど、やっと夢を、目標を見つけ、もう後ろ《過去》は振り返らず前を向いて歩けるような、初めて前を向けたような気がした。
幼児教育の授業は本当にどれも興味深く楽しくて、友達もできて大学生活はとても充実していた。
そして、順調に一年生の夏休みに入り、友達と遊んだり、資格取得のための保育実習もなんとか乗り切り、充実した夏休みを過ごした。
そして、後期が始まった9月。予想もしていなかったことが起きた。
また私に、あの恐怖感が付き纏い始めたのだ。
不登校になっていたあの頃とまったく同じ、あの《恐怖感》だ。
どうしてここまでやってきて、今になってまたあの恐怖に駆られなければいけないのか。
自分自身のことなのに、まったく理由も解決策も分からないのだ。授業も人間関係もなんの問題もなくきていたのに。
不登校の日々に一瞬にして戻されたかのように、朝が来ることに意味もなく怯え、毎朝学校に行けるかどうかの闘いの毎日。結局、私はその恐怖に打ち勝つことはできず、どんどん欠席日数が増えていき、ついにあらゆる学科の単位を落とし始めた。これでは留年は確定だというところまで落ちてゆき、もう今更何をどう足掻いてもダメだと悟った。
私にとって保育士になることは、初めて見つけた生きがい、純粋な夢でもあり、母のようにならないための大事な手段だった。保育士になることは、あの時の私にとっては《明るく幸せな未来を掴む》たったひとつの、小さいけれど確かな希望の光だった。
これまでの努力や自信も、あっさりと消え去った。