第一部

二人立ち・半同棲生活

もちろん一樹は疑いながらも心の奥底ではいつも、俺の勘違いであってくれと願っていたはずだ。疑うより信じることを大切にする、それが一樹だ。

だからいつも直球で聞くのではなく、誘導しているかのように私から告白するよううまく促され、私は援助交際の事実を話した。

もちろん、もうこれですべて終わりだという覚悟だった。

けれど、なぜか一樹は私を見捨てなかった。

親の愛情に飢えているから、そういう行動をとってしまうと判断したのだろうか。

一樹は感情に任せて怒るわけでもなく、彼から「別れよう」という言葉はなかった。

許してくれたという言い方が正しいかは分からない。当然のことだけれど、それからは関係がギクシャクした生活に変わった。

一樹はたまにどこかイライラしていて、だからといってその話をするわけでもなく、よく分からない小さなすれ違いから起こるような喧嘩がたびたびあった。

でも、何を言われても私が全部悪いのだから、あまり言い返せずただ泣くしかなかった。

それでも一樹は私を拒まず、突き放すこともなく抱きしめ、泣きながら小さく背中を丸くするだけの私を受け止め続けてくれた。

そして16歳になる頃、私は初めてアルバイトを始めた。