第一部

出逢い

一樹も車に乗り、私の実家に行って話をした。

そしてその時、父は「学校はもう行かなくていい。一樹くんと暮らしなさい」とだけ言った。

家出してしまうほど追い詰められているなら学校へ行かなくてよい、というだけなら理解できる。

でもなぜ、一樹と暮らすことになるのか。

きっと理由は《薫は一樹くんを頼ったから、一樹くんと一緒にいればいい》という、単純かつ親としては無責任な発言だと今でも思う。

高校生の娘に、男と住めという親がいるのだろうか。

家出するほど追い詰められていたと解釈したのなら、その時に親がすべきことは何がそんなに娘を追い詰めたのか、ちゃんと向き合って話すいい機会だったのではないのか。

そして、その父の言葉がキッカケで、私は一樹とあの1Kのアパートで半同棲生活を始めた。

私は、まだ15歳だった。

二人立ち・半同棲生活

15歳から一樹との半同棲生活が始まった。

一樹は、当時はまだ大学生だった。

一樹は高校の時に人間関係に疲れ、高校を辞めて高卒の資格をとって大学に進学したいと両親にお願いしたという。しかし、普通に高校を卒業してくれと猛反対され、一樹は仕方なく高校を卒業したそうだ。