第一部
約束
そして当時、まだ4歳の年中さんの息子なのに、小学校の入学式には何を着ていこうかと、すでに楽しみにしていて、私はさすがに気が早すぎるなと笑いながらも、そんな一樹を見ていて幸せだと思った。
本当に息子が大好きなんだと、成長が楽しみで仕方がないのだと感じた。
家族3人で、入学式の日は小学校の門の前で写真を撮ることも楽しみにしていた。
そしてその他にも、息子がもう少し大きくなったらまた船にも乗りたいと言っていた。
フェリー旅行でプロポーズされたのだけれど、息子もそのフェリーに一緒に乗って旅行できる日がくるかな、ランチクルーズから始めてみてもいいかもねと話していた。
私たちが結婚式を挙げた式場は、毎年クリスマス限定ディナーをやっていたが、それも息子がもう少し大きくなったら行こうねと話していた。「パパとママは、ここで結婚式をしたんだよ」と息子に話してあげたいと……。
そう、どれももちろん、お互い数年以内に叶うと思い込んでいた些細な約束、家族の夢だ。
保育参観や運動会も、必ず仕事を休み、家とはまた違う息子の姿を見て一樹は嬉しそうに笑っていた。
けれど―。