第一部

 母との絶縁・パニック障害

しかしその後〈またあの発作を起こしたらどうしよう〉という不安や恐怖が常に念頭にあるせいもあってか、パニック障害はあらゆる場面で起きるようになっていった。

藁にもすがる思いで精神科を受診し、発作を予防、または発作時に服用できる安定剤を複数処方してもらったが、これといった効果はなかった。私の場合パニック発作を起こす場所は、美容院や電車の中、タクシーに高速道路、病院の待ち時間が主だった。

理由は分からないが、息子といる時だけは発作は出なかったため、はじめは薬に頼らず自力で治すとあらがった。

しかしそんなある日、息子が風邪をひき病院を受診した際、息子といるにもかかわらず、初めて発作が出た。

2歳の息子を残して病院から出るわけにもトイレにこもり発作をしのぐわけにもいかず「少し待っててね」と説明して一人で待てる年齢でもなく、この時にもう自力で治すことは不可能だと悟った。

生活に支障をきたすのも困ったが、息子を病院へ連れていくことさえできなくなるところまできてしまった以上、薬は飲みたくないなんて意地を張っている場合ではないと思った。パニック障害について、病院だけじゃなくネットでも調べたり、関連のある本を読んだり情報を集めていたが、結果私の場合一番効果が高かったのは抗うつ薬だった。

昔も飲んでいた時期があったが、私の場合は抗うつ薬を服用し始めてから一週間ほどかけてパニック発作の頻度が減少し、生活に支障のない日常を送れるようになった。

パニック障害になったのは、母との絶縁が原因だったのだろうか。

それも含め、いろんなストレスが重なったことで発症してしまったのだろうか。

私には無関係だと思っていたことが、まさか自分の身に起きるとは思っていなかった。