第一部

二人立ち・半同棲生活

確かに事実としては、未遂に分類されるかもしれないけれど、遊びの延長ともとれるという内容に似通った言葉を父は口にしたのだ。

なぜ、どうして父も母もりょうくんに対し、怒りや憤りなどの感情が湧いてこないのだろう。

当人がいないこの場での、私だけの一方的な話だけでは信じられなかったのだろうか。

なんだか、そんな両親を目の当たりにし、私は失望し、静かにゆらゆらと心が暗闇に沈んでいった感覚しかなかった。

両親に話はしたのだから、私はこの問題と向き合う覚悟を決めた。

りょうくん本人に会い、ちゃんと話がしたいと父に言った。もうすでに結婚し、お子さんもいた彼。連絡先を私は知る術もないため、父にお願いした。

そして後日、りょうくんと連絡がついた父が話す機会をセッティングしてくれた。

この日は完全に私個人と、家族を巻き込んでの話になり得るので、一樹は同席せず、私は両親と一緒に、りょうくんと約束しているレストランへと向かった。

父は、家族や親にまではこの話を持っていかないということを条件に、必ず約束した日時に来てくれと言ったそうだ。

……何年ぶりに、りょうくんの顔を見たのだろうか。