・教科書を閉じたまま、いきなり『とんび』の範唱CDをかける(不意討ち)

・聴き終わったあと、「『とんび』の歌の中で、とんびは何と鳴いていたでしょうか ?」と発問する

・子どもたちは戸惑い、口々に「ピーピロロロー?」「ヒードロー?」と、当てずっぽうな回答をする5

・「 歌詞も書き取ってごらん。聴いていたなら書けるでしょう?」

「えっ!? 書けないよ~」

「何? まさか、聴いていなかったの?」

「聴いていたよー?」

「ならば書けるでしょ?」

「先生! もう一回聴かせて!!」(もう一回CDをかける)

・「ピンヨロ~」の部分のリズム、音程も捉えていく。その際、該当部分について、わざと外した音を混ぜてピアノで弾いて聴かせ、正しい音を探していく。その際、ドレミはいわずにリコーダーを使って音を探していく

・既に15回は反復して『とんび』を聴いている。書き取った歌詞を確認するために教科書を開く

「あ! まだ違うところがあった!!」

・完成させた歌詞カードを頼りに、範唱無しのCD伴奏で『とんび』を歌う(自信をもって歌っていた)


1)  芳賀均「トンビは飛び続けた」第40回 音楽鑑賞教育振興 論文・作文《教育随想の部》「入選」のエッセイから抜粋および再構成。音楽鑑賞教育振興会、平成19年12月。

2)  J. デューイ著/河村望訳『経験としての芸術』人間の科学社、2003、pp.9-10

3)  芸術といえば「クラシック」が思い浮かびます。「classic」は「古典」という意味で用いられることが多いですが、由来は「クラス」であり、『新英和中辞典』第7版(研究社、2003)を参照すると、最初に「一流の、最高水準の、古典的な」と記されています。「最高クラスの」とか「一流の」という気配を帯びるのは自然なことかもしれません。

4)  大廣雅也教諭による授業。浜頓別町立頓別小学校、平成19年2月1日。

5)  本来の歌詞は「ピンヨロー」です。俗にいう「耳コピー」ですが、私が実践したときは「フィンランド~」等、やはりかなり違った回答をする子どもが見られました。話が逸れますが、歌を教えるときには「耳コピー」のみで行うことは危険であるといえます。

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