男はそう言って彼の額に手を触れようとしたが、彼は触れられるか触れられないかのうちに意識を失ってしまった。
目覚めた時には、叔父が彼の傍らにいて、セージに含ませた水で彼の口元を湿している最中だった。どのくらい眠っていたのか知らないけれど、日は暮れかかっていて、そろそろ山を下りなければならない時刻だった。
あんなにも恐れ入って縮こまり、祖母なる大地にばかり目を落として座っていたのに。目覚めた時には手足を遠慮なく放り出して、空を仰ぐみたいに寝転がっているなんて不思議だと、彼は思った。
ご先祖様に会ったと嘘をつきたかったけれど、神聖な儀式の報告で嘘などつけるはずがなく、仕方なしに彼は一部始終を、細大漏らさず叔父に報告することにした。
部族の掟では、夢のお告げに従って大人の仲間入りをする者に新しく名前をつけなければならなかったが、叔父は彼の名付けに悩んでいるようだった。チーフとメディスンマンのいるティーピーに出掛けていって、随分長いこと帰ってこなかった。
彼のほうでは、叔父以上に自分の見た夢に悩まされていた。山に登る前は、自分も叔父とそっくりにシッティング・ベアとか、なんとかベアになるに決まっていると思い込んでいて、なんの憂いもなく意気揚々と出掛けていったのに。
こんなふうに言うと、彼が神聖な儀式をあまり深刻に捉えていなかったと君は思うかもしれないが、そんなことはないさ。彼はただ、超越的な存在に身を任せていれば、それで自分が満足できることを知っていたにすぎない。
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