ぽろもきは毎日毎日同じスープの缶詰を飲んでいたが、スープだけではだんだん飽きてきていた。また、たくさんあった缶詰も、さすがに少しずつ減ってきてはいた。

そんなある日の昼下がり、ふと床を見ると何か動いていた。春になって、てんとう虫が外から家の中に入ってきたのだった。大好きな生き物なので、思わず見入ってしまっていると、てんとう虫が家の中の明るい方向へと歩いていくことが観察できた。

家の中に迷い込んだてんとう虫は、出口を探しては行き詰まっていた。そのちょこまかとした動きを少し楽しんでから、手のひらに包み込んで外に連れ出し、植物の葉の上に解放してやるのだった。

それはまるで、苦しい状況にある自分を解放するかのような一種のおまじない的な行為だったかもしれない。

幼少期、何も考えずぬるま湯に浸かっていた頃も、てんとう虫に癒されたことを思い出すが、あの頃に戻りたいとは思えなかった。その後に同じ苦しみが待っているからだ。

葉っぱに乗せてやったてんとう虫の行動を観察する時間は、ぽろもきにとって何とも言えない和やかな時間だった。

この“家の中に入ってきたてんとう虫を外に連れていって逃がす”という行為は、何回か続いた。それは決まって、太陽の日差しが木々の間からまぶしさを散りばめる日中のことだった。

てんとう虫を逃がした後、周囲の美しい自然を、春の日差しと共に身体で受け止めていた。自然の中で幸せな時間を感じることができるのは、新鮮な喜びだった。

 

 

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