当時、「FM fan」(共同通信社 2001年休刊)、「FMレコパル」(小学館 1995年休刊)というFM放送の番組ガイドが書店で売っていました。どの放送局でどんな曲がかかるのかがわかり、好きなアーティスト特集のときにはラジオの前で待ち構えて、カセットレコーダーで録音していました。エアチェックという行為です。

いまの若い人たちは聞いたこともない言葉かもしれません。そういうことをしているときに、たまたま聞いた音楽に影響を受けるようなこともありました。わたしの場合、そういうタイミングでボブ・ディランの「コーヒーもう一杯」「モザンビーク」という曲に出会いました。

ボブ・ディランの名前は聞いたことがあったのですが、曲を聞くのは初めてだったので試しに録音してみようと思ったのです。そして、言葉の意味はわからないのになぜだか衝撃を受けたのでした。曲を聞いている間に視界に入っていた、当時住んでいた家の部屋の様子が記憶に残っているのは、感性のボルテージが最高潮であったことを示していると思います。

わたしはこの時期、それまで聞いたことのなかった洋楽に触れて心を打ち震わせていました。「FM fan」、「FMレコパル」を小遣いで購入し、狙った曲がかかる時間にラジカセにテープを入れて待ち構え、パーソナリティが曲の紹介を終えると同時に録音ボタンを押すようなことを繰り返していました。

いまだにそのテープは手元にあり、時々懐かしく聞いています。私の大事な宝ものです。

毎週土曜日の午後1時から「コーセー歌謡ベストテン」(FM東京)、午後2時からは「ダイヤトーン ポップスベスト10」は、今も同世代と話をするときに盛り上がる話題の一つです。

ちょうど1975年に中学1年になり、まだビートルズが解散して間もなかったため、わたしも遅ればせながらビートルズサウンドに接することになりました。エアチェックのおかげでアルバムはあまり持っていません。しかし、「オールディーズ」と「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバムは小遣いをためて買いました。ただ、ホワイトアルバムと呼ばれた「ザ・ビートルズ」、「ザ・ビートルズ1962~1970」(通称:青盤)、「ザ・ビートルズ 1962~1966」(通称:赤盤)はどうしても欲しかったのですが、手が出ませんでした。

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