冬になると

真冬の寒い季節

両手をポケットで温める

外は空が高くて

澄んだ空気に身体が吸い込まれそうになる

こんな時に恋しくなる

ホットのほうじ茶ラテ

自販機がカランとなって

わたしの大好きな幸せを届けてくれる

130円のやさしい味

仕事帰りはお腹がすくから

頑張った分だけ消耗するから

なんだか心惹かれてしまう

羽根つきのたい焼き

ぎゅっとたっぷり詰まったあんこが

口の中でとろとろ溶ける

わたしの心もとろとろ溶けそう

ひとつ170円のささやかなお菓子

を大事に食べる瞬間がわたしは大好き

こんな風に300円で買える幸せが

わたしは毎年いとおしくて

寒い冬もやっぱり悪くないと

マフラーにくるまれてほほ笑んだ

水仙の奇跡

水仙のりんとした立ち姿

黄色のうつくしい花びらをしぼって

あふれでた花の露は

わたしにとってかけがえのないもの

泥でよごれた水たまりも

みんなが隠しもっている黒いなにかも

ぜんぶ透明にしてくれる魔法の水

その露を魔法瓶にいっぱいそそいで

空のはるか上から世界にあびせたのなら

大きな虹がいくつもかかるくらい

の奇跡がきっと起こるから

そうしたら澄んだ地上から

わたしの頭の上にひろがる無数の虹を

とても幸せな気持ちでながめたい

透明な水たまりの上に座って