俺が小学校六年生になって思春期を迎え、異性に興味を持ち出した頃、中学生になった姉の胸が膨らみ、大人用ブラジャーをするようになった頃のことだった。俺は、いつもそばにいる「おばちゃん」が、時々煩わしいと思うようになっていた。
そんなある日の夕方のことだった。
「おばちゃん」はいつからか、家にいても昼間の明るいうちはいつもどこかに行っていて、俺のそばにはいなかった。そんな安心感があったのか、そろそろ日が沈む時間であるのも忘れて、俺が自分の部屋でマスターベーションにふけっているのを「おばちゃん」に見られてしまったのだ。いつものように俺のすぐ横に立って、いつものように彼女は微笑んでいた。
「おばちゃん」は、俺がトイレや風呂に入っているときには、決して出てくることはなかった。節度をもって接してくれていると思っていたのだが、よりによってこんな恥ずかしいところを見られてしまい、俺は気が動転してしまった。そして、ついきつい言葉を口走ってしまった。
「なんでそんなところにいるんだよ。もう俺の前に出てくるなよ!」
「おばちゃん」は、今まで俺に見せたことがない少し悲しそうな顔をしたかと思うと、そのままスウーっと消えてしまった。
【前回の記事を読む】家族みんなで食事をするとき「おばちゃん」はいつも俺の横にいた。「おばちゃん」はただじっと俺を見ているだけだった...
次回更新は11月9日(土)、22時の予定です。