膀胱の柔軟性は若いころとは違い、膀胱の利尿筋が前立腺肥大の排尿抵抗で筋張って経年劣化するのは普通のことです。その上、睡眠も浅くなり中途覚醒が起きやすい生体機能の状態が高齢者にはあるため、高齢者では夜間頻尿1回は正常の範囲であるといえます。

以上より、当院の「内服、内服+生活指導」の治療で、①定期通院患者は夜間頻尿がかなり改善していること、②50〜70代では夜間排尿回数が1回以内の正常範囲になる割合が 7割以上であること、③80代以上では、1回以内が5割程度であり良好ではあるが、前の世代に比べて効果がやや減少し治療抵抗性が増えてくること、④3回以上の無効例は80代以上でさえも13・5%と非常に低かったこと、などがわかりました。

治療の反応や効果から見ると、確かに生活指導の併用が夜間頻尿改善効果をあげており、生活指導の効果の大半は「代謝を上げ、ぐっすり寝る」ことによるものと考え、それが原因追及のきっかけになりました。

 
(図②.の年代別の患者数の割合をグラフ化)

夜間回数のカウントは、平均1回と平均2回との差が、聞き方答え方によって曖昧な面もあります。月平均といっても気温や生活である程度変化します。次に示すデータでは曖昧さを少しでも取り除くためにもっと厳密に聞く努力をして自由研究で調査してみました。


*MaleLUTSとは、男性の膀胱、前立腺などによる排尿症状を有し、炎症を伴わない患者です。

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