第三章 ちいたび会との出会いと就労支援
2 就労支援
「注文をまちがえる料理店」に誘われて
私たちは、ちいたび会のお陰で就労や「注文をまちがえる料理店」にも参加させていただきました。認知症になって弾けなくなったピアノも、たった一曲でしたが、再び弾くことができるようになり、泰子さんもうれしかったと思います。
ちいたび会に出会えなかったら、こんなふうにピアノを弾いて楽しむことはできなかったでしょう。本当に私たちは、救われました。
ちいたび会は、私たちにとってかけがえのない存在になっていました。
しかし、二〇二一年七月十三日に突然、ちいたび会を解散すると言われ、私たちは呆然としてしまいました。
3 若年認知症家族会設立
「ちいたび会を解散する」と、突然理事長から言われました。
当事者同士が支え合える場の必要性を感じていた残された何人かで、新しく若年認知症家族会を作る必要があるだろうということで、話し合いが始まりました。
その結果、次の四つの目標を達成するために、若年認知症家族会「陽だまりの輪」を始めることにしました。
第一、認知症の方たちの人権を守り、生き生き明るく笑顔で暮らせるような生活ができるように支援します。
第二、介護をする家族の方に対して、家族同士の話し合いで、悩みを聞いてもらったり相談したりすることで、その悩みを解消できるように支援します。
第三、若年認知症の方は、まだ十分仕事ができるし、したいと考えている方もいらっしゃいます。支援をしている団体とコラボして、それが実現できるように企画します。
第四、認知症について、もっと知ってもらえるように発信をしていきます。
二〇二一年七月十日に設立総会を実施し、私が会長になりました。
現在の活動
現在は、毎月第二土曜日に交流会、第三火曜日にカフェを実施しています。会場は当初、杉並区の公共施設を利用していたのですが、抽選制でいつも確実に使えるわけではないので、開催場所が変わったりしていました。もちろん費用もかかりました。
そんなとき、中野区の施設「桃園区民活動センター」が無料で使えることがわかりました。しかも年間通して申し込むことができ、経済面でも利便性でも本当に助かりました。
また、送迎のためにレンタカーや介護タクシーを利用していましたが、お金のこと以外にも、各ご家庭を回っていくと大変時間がかかってしまうので、うまくいきませんでした。
そんなとき、「中野友愛ホーム」のキャラバンを、空いているとき(土曜や日曜など)なら無料で借りることができるようになり、日帰り散策や一泊旅行のときに活用させてもらえて、大いに助かりました。