第三章 ちいたび会との出会いと就労支援
2 就労支援
就労支援に参加して
二〇一六年九月十三日の雨が降る中、ちいたび会の方と一緒に、大起エンゼルヘルプに見学に行きました。
後で調べると、自宅から大通りを自転車で二十分くらいで行ける場所だったので、自転車が得意な泰子さんなら何とか自力で行けそうでした。唯一の問題は、一人で道を覚えて、家から間違えずに通えるかでした。
自転車で行く練習をする
二〇一六年九月十六日
二人で自転車で行き、二十分ほどで事業所に着きました。まず、施設内の案内をしてもらい話を伺うと、どうやら十月から仕事をさせてもらえるようでした。
そうと決まればさっそく通勤の練習です。まずは一緒に自転車に乗り、泰子さんに先に行ってもらって私が後からついていく形で練習しました。
その後、泰子さん一人で自転車に乗って大通りを行ったのですが、どうやら最初の交差点で、真っ直ぐ行くべきところを左の方へ曲がってしまったようでした。残念ながら一人で行くことはできませんでした。
次のときは、最初の交差点では曲がらずに真っ直ぐ行って順調に進み、最後の左折する地点のところでまごついていました。ここがうまくできれば一人で行けそうでした。
さらにその次の日は間違えずにスムーズに行けました。最後の曲がるところで、まだ迷っているようですが、どうやら行けるようになりました。五回目のことです。今度は午前中に二人で行き、午後は一人で行きました。
何とか行くことができたので、泰子さんはとても喜んでいましたし、それが自信になったようです。これで一人で通勤ができそうだと思えました。
私が社長さんと就労の条件などの話をする間、泰子さんは就労場所の候補である事業所内の「グループホームなごみ方南」を見に行きました。
雇用契約を結び就労できることに
十月十一日から「グループホームなごみ方南」で働くことになり、当日自転車で一緒に行きました。私は雇用契約を結ぶために行きましたが、担当者がいなくてすぐに帰りました。
一人で大丈夫だろうかと心配しましたが、泰子さんは仕事を終えて、一人で無事に帰ってきたので安心しました。
翌日からは、いよいよ泰子さん一人で仕事場に行きました。そして午後二時三十分に、無事に帰ってきました。とても充実していたようで、うれしそうにしていました。
後日私は、改めて雇用契約を結びに行きました。週五日・一日三時間労働の契約で、仕事の内容はトイレ掃除、シュレッダーの作業、昼食の手伝い等です。
この日も泰子さんは順調に自転車通勤をしていて、仕事を始めて四日目になっていました。とても楽しいと言って、表情も明るくなりました。