私たちも、ちいたび会に倣って、日帰り散策と一泊旅行を行っています。さらにお花見やバーベキューも実施しています。

交流会では、まず全体会で初めての方や久しぶりの方に自己紹介してもらい、その後、みんなでレクリエーションをします。ときどきイベントとして、演奏をしてもらったり、みんなで歌ったりしています。

その後、本人組と家族組に分かれ、本人組はレクリエーションをしたり天気がよければ散歩に行き、家族組には最近の様子を伺います。中には悩んでいる方もいらっしゃいますので、看護師や専門家の方、さらに経験者からのアドバイスをしてもらいます。

一泊旅行では、ちいたび会と同様、看護師やボランティアの方が面倒を見てくださるので、介護する方もゆっくり旅行を楽しむことができ、ホッとできる企画です。

当事者も、いつも家にいては家族と接するばかりですが、ほかの方と触れ合うことで脳の活性化に役立ちます。さらに会員の方たちとの信頼感も生まれ、落ち着きを取り戻すことに繋がります。

私たち夫婦は、ちいたび会で救われましたので、同じようにほかの方たちの助けになれればと、思っています。設立して二年経ちますが、少しずつ新しい方も入会してきています。

第4章 一夫と泰子さんの生い立ち

1 出会いから新婚旅行まで

二人の出会い

一九七六年頃、当時の私は二度の失恋で落ちこんでいました。そんな中、義理の祖母(祖父の後妻)の輝子が、次々と音楽家を紹介してくれました。

ピアニストやヴァイオリニスト、どの方もとてもいい方でしたが、なかなか付き合う気にはなれないでいました。

三十歳を過ぎ、少しずつ失恋の傷も癒えて、結婚してもいいかなと思い始めた一九七八年十月頃、親戚の方が、福岡の実家を離れて東京の音大のピアノ科を卒業したばかりのピアニストを紹介してくださいました。

さっそく会うことになり、親代わりのお兄さんと二人で我が家に来てくれました。この人が、私と結婚することになる泰子さんでした。

そのときのことを振り返って、泰子さんはこんなふうに話してくれました。

「お見合いはしても結婚する気はなかったし、人生経験になっていいかな、というような軽い気持ちでした。ですからもう全然、全然、そんな気持ちはなかったのよ」当時を思い出し、笑いながら泰子さんは話していました。

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次回更新は10月2日(水)、18時の予定です。

 

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