ぽろもきは、父からも母からも褒められたり認められたりした記憶がない。特に父はいつも叱りつけてきたので、怖かった。しかも叱られる理由が計算の間違いやテストの結果だったので、もうどうにもならない場合が多かった。

「どうしてこんな間違いをしたんだ」と責められても、その時はもう直せないので、父の怒りが収まるのを待つより仕方がなかった。

奇跡的にぽろもきとしては出来が良かったテストでは、100点満点のうち80点だった。その時は、何故もう20点が取れなかったのかと叱られた。

少しは努力したつもりだったが、ぽろもきの努力はゼロにされた気がした。自然島には父も母もいないので、叱られることがなく少しほっとしているのかもしれないとも思った。

しかし、再試験を受けに行ってまた失敗したら叱られるくらいでは済まされない。のんびりもしていられない。現実を振り返ると足取りは一段と重くなった。

ぽろもきに与えられた家は、港からさらに森の方へと続く道の先にあるようだった。港を離れて家へと続く道を進むと、人家が乏しくなってきた。

ぽろもきは、父からもらった古い小さな家にたどり着いた。周りは森や山に囲まれていて、遠くには海もあった。今まで、大都会島でしか暮らしてこなかったぽろもきにとっては、寂しい孤独な環境に追いやられた感覚が強かった。

周囲には、ビルも高速道路もない。父親がいつか使おうと思っていたと言ったのはうそだとすぐ気付いた。彼は、不便な生活が嫌いだったからである。ここは、妹が不満を言ってから探したのだろう。父がここに直接来てみて買ったとは思えなかった。

誰かに依頼して購入したのだろう。ぽろもきをここで1人だけ離して暮らさせることが目的だったと考えると、家族からの疎外感と孤独感が改めて襲いかかってきた。