再びバッハ/グノーの『アヴェ・マリア』の練習を始める
久しぶりに、泰子さんは『アヴェ・マリア』の練習をしていました。
私は、事務所の就労会議に出かけました。その会議の中で事業所の担当者が「泰子さんが『注文をまちがえる料理店』に参加することを目標にしたい」とおっしゃいました。
そして、後日再び参加した就労会議で私は、先日下見した「注文をまちがえる料理店」の会場に置いてあったピアノを、二人で演奏できないかと聞きました。そういう話も出ていたそうで、問題ないとのことでした。
帰宅後、さっそく泰子さんに「注文をまちがえる料理店」で演奏できることを話したら、とても乗り気になっていました。
翌日からいよいよ本番に向けて練習にも熱が入ってきました。さっそくピアノを喜んで弾き始めました。バッハ/グノーの『アヴェ・マリア』ですが、数回弾いたらかなりスムーズに弾けるようになりました。
暗譜で弾くのですから、頭の活性化にはとてもよかったと思います。しばらく一人で弾いていました。その後も、練習をしっかりやっていましたが、同じ場所でいつも間違えてしまい、なかなかできるようになりません。
そこからは問題なく先へ進み、最後にもう一箇所難所を残すのみです。
大きな変化はありませんが、いい音色でしっかり弾けてきていました。
第三章 ちいたび会との出会いと就労支援
1 ちいたび会
ケアマネージャーが決まる
二〇一五年十月二十七日に、泰子さんの介護認定の結果が届きました。要介護1でした。この頃は、少しずつ字が書けなくなったり、言葉が出にくくなっていました。
しかし、ある程度のことは自分でできていました。
そこで、二人で自転車に乗って地域包括支援センターに行き、二つの事業所と「ちいたび会」という認知症患者と家族たちが運営する団体の紹介をしていただきました。
さっそく、紹介された事業所に行き、最初に受け入れの返事をくれた事業所のケアマネージャーに決めました。そうしたら何と、そのケアマネージャーの豊田さんからもちいたび会を紹介していただいたのです。
これも何かの縁だろうと思い、十二月十二日に豊田さんと三人でちいたび会へ見学に行きました。場所は、我が家から真北に行く一本道の先にあり、徒歩で十五分くらいなのでとても行きやすかったです。
私は、もちろんとても気に入りました。問題は、泰子さんが気に入ってくれるかどうかでしたが、心配することなく、泰子さんもとても気に入ったようなので、入会することにしました。
【前回の記事を読む】およそ三か月、何度も何度も練習してようやく四十小節目まで弾けるようになった。しかしその後は...
次回更新は10月29日(日)、18時の予定です。