二人はお揃いの格好で会社に着くと、「お早ようさんっす」と言って挨拶を交わす。そしててきぱきと荷物を詰めこむのだった。

辺りにはエンジン音が木霊して朝のターミナルは活気づいていた。人気のない街に雀がチュンチュンと啼き、男たちは忙しく働いていた。まだ六時前だというのに陽射しは強く、既に路面は陽炎に揺られていた。骸骨は手並みも鮮やかに荷物を積みこんでいく。

今日は新潟行きの日で、昼一番でそこへ着き、別の荷物を積んで夜までに富山へ向かう予定でいた。

速やかに積こみを終えないとそのツケが後に回ってくる。正太も骸骨もことば一つ交わさず黙々と働いた。ドサッ、ドサリと物音が辺りを包み、骸骨は働いているという充実感を味わっていた。

「ようし、OK」

正太はそう言って荷室のドアをガチャリと閉じる。骸骨は助手席に乗りこみ、正太は事務所へ伝票を受け取りにいく。間もなく出発だ。

骸骨はこの瞬間が好きだった。胸がわくわくした。まるで修学旅行へ出発する子供みたいなものだった。だがほとんど外の社会を知らなかったのだから、こうした心情も大目に見る必要があったろう。

「ようしっ、出発だ」

正太はドアを閉じる間もなく車を走らせた。荷を満載したトラックは重たげに身を捩って国道へと向かっていく。

「六時半か、いいところだな」

そう言って正太は笑顔を向け、骸骨も満足そうに微笑んだ。

【前回の記事を読む】「お客さんどちらまで?」「海…」どこでもいい。東京を離れたかった。タクシーは走り去り、独りぽっちになった。その瞬間-!?

次回更新は9月27日(金)、11時の予定です。

 

【イチオシ記事】配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と…

【注目記事】長い階段を転げ落ち、亡くなっていた。誰にも気づかれないまま、おじさんの身体には朝まで雪が降り積もり…