序章  新しい「ホスピタルフリー・サバイバル」

Ⅳ 抗がん剤治療の目的と治療経過の説明

抗がん剤治療の目的は治癒ではなく、抗がん剤の副作用が蓄積して治療継続の限界を超えたり、抗がん剤の効果が認められなくなったら治療を中止すること、その後は痛みや食欲不振などがんの進行による症状を緩和する治療のみになることを説明します。

Ⅴ 一般的な予後の説明

「平均余命」の説明をしますが、ここが難しいところです。医療を扱うテレビドラマで、患者さんが「私の命はあとどのくらいですか?」と聞き、主治医がだいたいの時間を説明する場面です。

「これからお伝えする平均余命は決してあなたの残り時間ということではありません」と繰り返してから平均余命を伝えても、患者さんは平均余命を残り時間と思い違えて、命のカウントダウンを始めてしまうことが多いのです。

Ⅵ 他の治療法の説明

抗がん剤以外の治療に関する質問に対してお答えします。放射線治療、免疫治療、漢方薬など様々な治療法が出てきます。最近はがん遺伝子パネル検査やセカンドオピニオンで新しい治療の選択肢を考えたいという方もいます。

Ⅶ 抗がん剤治療の疑問に答える

抗がん剤治療への不安、例えば副作用・日常生活への影響に関して、入院のみでなく外来通院の負担を考慮した新しい「ホスピタルフリー・サバイバル」の観点も含めて抗がん剤治療について説明します。

最近は医師にすべての判断をゆだねる患者さんはさすがに減っていますが、命の質と長さに大きく影響する治療法の選択は非常に難しいものです。また、「腫瘍内科」がどのような仕事をするのかも説明することがあります。

Ⅷ 緩和治療の説明

緩和治療に関する質問に対して答えます。ここではQOL、そして避けることのできない「良い死」についても少し触れます。私が語るには大きすぎる問題ですが、私の限られた経験からお話しします。自分の人間としての力量の足りなさをいつも感じるところです。