【前回の記事を読む】がん遺伝子パネル検査は魔法の検査でもなければ、魔法の治療法でもない。しかし将来的に画期的な治療法に結びつくかもしれない

第2章 患者さんの疑問に答える
抗がん剤以外の治療

8 セカンドオピニオンを聞いてみてもいいですか?

セカンドオピニオンの意義 

セカンドオピニオンとは、よりよい決定をするために現在治療を担当している医師以外の医師から聴取する意見で、医療の分野では、一人の医師の意見だけで決めてしまわずに、別の医師の意見も聞いて患者さんが治療法などを決めることを指すとされています。

実際に患者さんがセカンドオピニオンを求める具体的な理由は次のようなものでしょう。

・現在受けている治療・治療方針は本当に正しいか、もっと良い治療法があるのではないか

・今の主治医からもう治療法はないと言われているが、本当にもう治療法は残っていないのか

・抗がん剤ではない治療を試したい(例えば、陽子線治療、免疫治療など)

・今の主治医・病院との関係があまり良くない(“できれば主治医・病院を変えたい”という意図が隠れていることがありますが、これは真のセカンドオピニオンではありません)

宮城県立がんセンター腫瘍内科のセカンドオピニオン 

私のところへは、約3年間で38人の患者さんがセカンドオピニオンを求めていらっしゃいました。最終的に現在の治療の継続または予定されている治療の開始を勧めたのは34%、治療継続するか緩和治療に移行かの微妙な患者さんが24%、緩和治療を勧めたのは34%でした。その他は、遺伝子パネル検査(質問7)、組織検査による確定診断、陽子線治療(質問4)を勧めました。

現在、各々の悪性腫瘍に対して治療ガイドラインがあり、医師はそれをできるだけ遵守して治療を進めます。私の経験では、セカンドオピニオン希望で来院した患者さんで、治療ガイドラインから全く外れた抗がん剤治療を受けていたり、これから受ける予定であるという方にお会いしたことはありません。