我々は、建築資材の何を取ってみても造り出すことはできません。皆さんのご協力がなければ何もできません。皆さんの技術に私どもの思念(しねん)を注入できれば、誠にありがたいと考えています。

皆さんは、私どもにとって、実に素晴らしい技術集団とお見受けしました。良い作品ができそうです」

先生は、同席した仙田専務、竹之下常務、西工場長、船山製造課長の1人ひとりに目をやりながら、理解を求めるように言われた。

製造に携わる2人の顔にも、立派な製品を造ってやろうと気迫が漲っていた。

「先生、私どもの会社は、小さなアルミ鋳物メーカーですが、アルミ鋳物に懸ける情熱だけはどこにも負けないつもりです。何でもおっしゃって下さい。無理難題と思われることでも結構です。挑戦していきます。

私どもは、建築家の先生方の意図されていることを造り込んでいくことを無上の喜びとしています。みんなモノづくりが大好きな者ばかりです」

「そうですか。ありがたい話ですね。最近はカタログの中の製品を使うことを、メーカーから強要されているようで、自分の思い通りの資材をなかなか使えないのですよ。規格の製品を少しアレンジするだけで値段が高くなってしまって、使うのを諦めてしまうことが多くなりました」

先生は満足した顔をして、臨席した社員の1人ひとりにほほ笑みかけるようにして言った。

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次回更新は8月29日(木)、8時の予定です。

 

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