第四章 「あかねこ」の試練

1.「あかねこ」の苦難と葛藤の日々

離婚直前に、夫から「家から出て行ってほしい」と、言われるまま私は家を出て別居したのだったが、その際、子どもたちは避難していたホテルから一度家に戻った。

子どもたちは離婚が現実にならないことを祈っていた。少し離れたらまた一緒に暮らせると信じていた。お母さんは戻ってこられると信じて待っていた。

夫は、私を家から出しておきながら、学校に行けない次男を自分の居ない時間には家に居て世話をしてほしい、と言ってきた。

メールのやりとりでお互い顔を合わせないようにして、私は家に独りでいた次男に付き添った。私も仕事の合間を縫って行くしかできなかった。

私から一日も離れたことがない次男と一週間ぶりに再会。次男の姿を見て私は立ちすくんだ。小さく固まって動かない、息だけをしている。心臓が止まりそうだった。声をかけ体をさすった。次男の体は血が巡っていないように冷たく硬かった。

「お母さん、いつ帰ってくるの?」と彼は私と会える数時間に何度もそう聞いた。

「お母さんはもう帰れないの。早く新しいお母さんの家を準備して迎えに来るね」と約束した。

急いで借りたアパートに仮設のような最低限の生活準備をした。生活が可能と判断した夫から「次男の試験外泊」の許可が出て(これも一体何のつもりだ!)、私は次男を連れアパートに戻った。