朝六時、室温三十度の部屋で、暑さの中、次男がパニックになった。壁に頭を打ち付け自傷行為を繰り返し、「家に帰りたい、お父さんに出て行ってほしい」と叫んで出て行こうとする。

止めようとする私にそこらへんにあるものを投げつけ、最後に携帯電話が私の顔面を直撃し、私は血だらけ。靴も履かず外に飛び出した次男を長男が捕獲した。

そして、いやいやだったが駆けつけてくれた私の母と共に、子どもらは「父親の家」に向かった。

クーラーの下で涼しく寝ていた父親。次男は、自分が小さく勝てるわけもないのに、立ち向かい殴るつもりだったらしい。

けれど、いざとなると足がすくみ手も動かなかった。顔面蒼白……その様子を見た長男が次男の代わりに父親を殴り、次男も続いたらしい。

そんな小さな手で何のダメージも与えられなかっただろう。子どもたちと私の母は、私のアパートに帰ってきた。

やっと落ち着いたかのように眠りについた次男あかねこの横で、お兄ちゃんはずっと泣いていた。私の母はその場にいたのに何も言わなかったらしい。

ただ、次男は、その後、「お父さんを殴ったけど(ポカン程度でしょ)、暴力は何も解決しないことがわかった!」と清々しく言った。父親と決別した。暴力とも決別したのだ。

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