佐渡のおばちゃんからはすぐに返事が来た。

とても残念であること。お父さんの帰国が、臨終に間に合ったと知り安堵したこと。

お兄さんは遺言に従って帰国適わずとなってしまい、悲しいけれど、その代わり生涯にわたって頑張れるエネルギーを授かったのではないかと感じたこと。

一日お祈りしたこと。あなたもこれから頑張ってほしいこと、をしたためた、丁寧で長い心のこもった手紙だった。最後には、中学受験合格を頑張って最高の親孝行ができましたね、といつもの一言が添えてあった。

母が亡くなって間もなく、卒業式に出るために数か月ぶりに小学校へ登校した。

学校を休み、母の看病生活を始めて、既に小学校最後の3学期は終了していた。

式が終わり、懐かしい友達とも再会を終え、帰宅しようと学校の門をくぐる時、門の横に満開に咲く、美しい桜の木をふと眺めると、母と佐渡のおばちゃんが揃って卒業を祝福してくれたような気がした。

風に舞う桜の花びらを眺めれば、長い間忘れていた久し振りの明るい気持ちが吹っ切れたように湧き起こり、母が亡くなってから初めて笑顔になれたことを思い出す。

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