ほかの大人たちにたしなめられているのを察したのだろうか。せっかく覚悟したのにと、がっかりした気持ち半分、フロントの女性の気持ちを裏切らずに済んだ、という安堵の気持ちと半々だった。それでもちょっと怪しい大人のジンさんは、僕の話をよく聞いてくれたし、会話はいつも楽しかった。学校帰りのある日。「おうボク!」「話があるんだ」、と呼び止められた。「俺、仕事が変わってね、大阪に行くことになった。明日、送別会…
[連載]318号室の扉
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エッセイ『318号室の扉』【第7回】戸嶋 次介
ある時、食事しながらケイコさんは僕にこう呟いた「私さぁ、あなたのママにはなれないけど、でも少しだけでも代わりになりたいな」
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エッセイ『318号室の扉』【第6回】戸嶋 次介
小学校6年生が六本木のクラブへ―!? 遊び人風の若い男に「ジュースでも飲むか?」と聞かれ、ついていくと…
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エッセイ『318号室の扉』【第5回】戸嶋 次介
「ホテルアジア会館」で一人で生活することになった僕。寂しさから部屋の扉を半開きにしていると…
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エッセイ『318号室の扉』【第4回】戸嶋 次介
学校を休んでいる間に母の看病生活を始めて、小学校最後の3学期は終了していた。
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エッセイ『318号室の扉』【第3回】戸嶋 次介
母が望んでいた中学に合格。それを知った母は安心したのか、糸が切れたようにその後一気に容態が悪くなり、間もなく亡くなった
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エッセイ『318号室の扉』【第2回】戸嶋 次介
遅れて中学受験の勉強を始めたが、変わらない成績…先生に相談すると、「大丈夫」
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エッセイ『318号室の扉』【新連載】戸嶋 次介
母倒れる! 勉強をしない僕の将来を心配して急遽中学受験!?