俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2020.08.07 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第3回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 流氷の海のくらさにひらひらと 赤く光らせクリオネは舞ふ 沖とほく見えし流氷天つ日に 白くかがやき船近づけり *天つ日 太陽。 一望にひろがる冬晴の流氷原 まばゆき光りをはばむものなく
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『乱世、一炊の夢』 【第11回】 安藤 恒久郎 【戦国時代】家臣に無血開城を拒否された佐竹義宣…放っては置けない。企てた策略に、父は「これは偽書ではないのか?」と… 能化丸の岩城家入りについても恙(つつが)なく九月二十八日に出立の日を迎えた。八歳の能化丸改め貞隆ほか付け人らの一行は太田城から磐城大舘城に向かった。補佐役は根本里行、岡本好雪斎と岩城家からは佐藤大隅守が同行した。義宣は会津黒川城の苦い経験から岩城家家臣と摩擦を起こさず協調するよう指示を出した。さらに貞隆後見付き家老としてしばらくの間、北義憲に政務を見させることにし、近くの植田城には梶原美濃守政景…