俳句・短歌 四季 歌集 2020.08.06 歌集「旅のしらべ・四季を詠う」より三首 歌集 旅のしらべ 四季を詠う 【第2回】 松下 正樹 季節に誘われ土地を巡る尊きいのちを三十一字に込める 最北の地で懸命に生きるウトウ、渚を目指していっせいに駆ける子亀……曇りなき目で見つめたいのちの輝きを綴る短歌集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 啓蟄はよき日和なり菜園に 人いでて鍬を打ちはじめたり 秋蒔の菜種は冬を越して咲き 黄の花むらにわがこころ寄る いっせいに萌黄に芽ぶく里山に 入り来て仰ぐうるはしきかな
小説 『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末[人気連載ピックアップ]』 【第10回】 川井 れもん 娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて... 次の日から雄二と2人で、市役所に提出する書類の整理や墓に納骨をするなど、予想以上にやらなければいけない事が多かった。そのためここ数日、私は身体に激しい痛みを感じて我慢できなくなっては休憩して、回復してから行動しての繰り返しだった。それでも、なんとかやらなければならない事をすべて終了させて、やっと直美の遺産相続の手続きをする事になった。この手続きは最初から姉に依頼しており、直美名義の口座がある銀行…
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第11回】 春山 大樹 入院初日の夜、男の怒号が病室の中まで響き渡る。旧知の仲の看護師のため、迷惑は承知の上で禍患を覗いてやろうという気になった。 午後九時に消灯なんて夜型の海智にはとてもじゃないが早すぎる。早寝早起きが健康に良いという理屈だろうが、午前六時に起きても九時間眠る計算になる。最近では最適な睡眠時間は人それぞれだと言われているのだから、睡眠時間を強制するなど医学的に遅れているのではないか。或いは単に電気代が勿体ないだけなのかもしれない。ただでさえ初めての入院で緊張しているのに、慣れない固めのベッドと枕ですぐ寝付けなんて無理難題だ…