高齢化・人口減少社会では、住宅資産が物理的に余る時代になるという視点が重要です。

「高齢化が住宅価額を減じる理由として、高齢化は病気や死亡の可能性を高め、住宅の売却を促進し市場に供給増をもたらすものと考えられている。他の条件が一定であれば、人口成長率が1%減少すると住宅価額は1.05%下落する。高齢化率が1%高まると実質住宅価額は0.68%下落する。

高齢化、あるいは人口減少が止まらない限り住宅価額は下がり続ける」(川口有一郎著 特集人口減少・高齢化社会と金融市場「人口と不動産投資」証券アナリストジャーナル2020第58巻4号p.39より一部引用https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=36840)

3 持ち家取得年齢人口の減少

2022年の「人口動態統計」によれば、出生数はこれまでで最も少ない約77万人となりました。死亡数は約157万人で、死亡数から出生数をひいた人口の自然減は約80万人となり、人口減は16年連続となり減少幅は過去最大となりました。

少子化を背景に、急速な人口減社会を、迎えようとしています。人口減による住宅需要の低迷は、長期的な懸念として意識されています。

日本では、持ち家取得に積極的であると考えられる年齢は、統計的には30~44歳の世代です。図13のように、30~44歳の年齢別人口は、2008年にピークを迎えた後に減少傾向が続き、2020年にはピーク比で16%減となりました。

20年後の2040年には、30~44歳の年齢別人口は、2020年比で約16.7%減少すると予想されています。30~44歳の年齢別人口は、2008年のピークからみると2040年には約30%減少することになります。