ここで、「ルールなし」「ルール無視」での失敗事例をパターン別に整理してみると……
①新人教育のやりっぱなし
②敢えて教えない「排他的グループ」
③「属人的」であることに胡坐(あぐら)をかいて、明文化をサボってしまう
④細かすぎるルールのために、使われないつたな
⑤伝え方の拙さ
などが、自らの失敗体験から思い出され、反省材料となり、挽回の起点となってきた。読者の皆さんも、同様な失敗を共有していただいたり、初耳の失敗を疑似体験して自分自身の「気づき」に変えていただければ……と思う。各項目を、少し具体的に書き出す。
事例(1)新人教育のやりっぱなし
よくあるケースで、標準化、ルール化していないが「守らねばならないこと」として伝え、教える。教えた側は、伝えたこと、教えたことをはっきりと記憶している。
なぜならば、そのことの重要性、業務との関連での必要性を深く理解し、場合によっては自分自身の実務経験の中で身をもって体得しているため、記憶が鮮明である。また、教える人の視点で必要だと思ったタイミングで教えている。
では、教えられた側はどうか? 今の仕事に初めて就く時には、たくさんのことを短い時間の間に押し込まれる。
教えられる全てが大切なこととはすぐに理解できたとしても、それぞれがどんな背景で、なぜ必要なのか、守らないと何が発生して、どんな影響が出るのか……というようには、理解ではなくて納得レベルになって腹に落ちているかどうかが、怪しい場合が多い。
このトラブルは、教育する当事者の自覚がない場合が多いので、謙虚な姿勢が必要。
挽回の経験として、「繰り返し」「段階的」「自らの失敗事例をさらけ出す」「小テストで確認」……等、いろいろやったが完璧な正解には辿り着けていない。
事例(2)敢えて教えない「排他的グループ」
このパターンは、狭い事業範囲や、小規模会社には時々見受けられる。失敗の分析をしていくと、「専門用語を知っている」「専門用語を使いこなせる」ことが一人前の証であるような部署やベテラン・先輩が保身の動きをしているようなケース。
これは、自分の得意分野を確保したいと思ったり、自分を追い越すことがないように狙ったりする場合に出てくる。
【前回の記事を読む】「日本のモノづくりの強み」それは「考えて仕事をする」「考えながら作業する」こと。「日本のモノづくりを強くしよう」と考えた場合この「考える力」を如何に引き出すのかがポイント